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【掌】 手部 8画 総画数 12画
■解字
会意兼形声。
尚は「向(まど)+八印(発散する)」からなり、空気抜きの窓から空気が上へ広がるさま。上(うえ、たかい)と同系。
また、平らに広がる、の意をも含み、敝(ショウ)(ひろい)・廠(ショウ)(広間)と同系のことば。
掌は「手+音符尚」で、平らに広げた手のひら。
■音
【呉音・漢音】ショウ(シャウ)
■訓
たなごころ, つかさどる
■意味
(1)たなごころ。手のひら。
▽「たなごころ」という訓は、中国語の「手心(てのひら)」の意訳。
「合掌(両手の手のひらをあわせて拝む)」「指掌=掌を指さす」
「天下可運於掌=天下は掌に運らすべし」〔孟子・梁上〕
(2)つかさどる。手のひらにおさめて処置する。
《類義語》⇒司。「掌管」「分掌(分担して受け持つ)」
「舜使益掌火=舜益をして火を掌らしむ」〔孟子・滕上〕
■単語家族
当・賞・償・障 ・・・ 平らに開いた面を押し当てる
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【陽】 阜部 9画 総画数 12画
解字
会意兼形声。
昜(ヨウ)は、太陽が輝いて高くあがるさまを示す会意文字。
陽は「阜(おか)+音符昜」で、明るい、はっきりした、の意を含む。
※阜は高い台地(乾いて日があたる高台)を意味する。
▼商(高台)や堂(室の前の盛り土をした高い台)に近い。
音
【呉音・漢音】ヨウ(ヤウ)
訓
ひ, あたたか, あきらか, いつわる
意味
(1)日の当たる丘。明るい小高い所。ひなた。《対語》⇒陰。
(2)山の南側。また、川の北側。
▽どちらも日当たりに面している。《対語》⇒陰。「岳陽」「漢陽」
(3)ひ。太陽。また、太陽の光。「秋陽」「陽光」
「匪陽不晞=陽に匪ずんば晞かず」〔詩経・小雅・湛露〕
(4)(ヨウタリ)(ヤウタリ){形容詞}あたたか(あたたかなり)。あきらか(あきらかなり)。明るくあたたかい。あざやかである。
《対語》⇒陰。「春日載陽=春の日は載ち陽かなり」〔詩経・漿風・七月〕
「我朱孔陽=我が朱は孔だ陽たり」〔詩経・漿風・七月〕
(5)対立する両面のうち、積極的、能動的なほう。地に対して天、女に対して男、月に対して日など。また、プラスの電気。《対語》⇒陰。「陽気」「陽極」
(6)人目のつくところ。また、はっきり見えるさま。《類義語》⇒佯(ヨウ)・顕。「陽為尊敬=陽には尊敬を為す」
(7)いつわる(いつはる)。上べだけみせかける。みせかけの。《同義語》⇒佯。「陽動(=佯動)」
(8)男の生殖器。「陽道」
(9)(ヨウナリ)(ヤウナリ){形容詞・名詞}生きている。生きている世界。「陽界」
「我去不再陽=我去つては再び陽ならず」〔陶潜・雑詩〕
■単語家族
昌(明るい)・彰(明るい、あざやか)・章(あざやかで、目だつ)と同系。
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8月6日(土)の早朝に、我が家のパソコンが故障。
PCがないと何もできないので困っています。
(職場のPCから接続)
さて、t−KUNさん、これから一泊の出張で出かけます。11日(月)の夜まで仕事が入っていますので、お返事もう少しお待ちください。すみません。
教育催眠研究会
「陽」と「掌」について、それぞれ教えていただけませんか。
よろしくお願いします。
字源は、学者の人数ほど、説があるといわれているものです。素人の字源俗解を聞いていればきりがありません。「新選漢和辞典」(第6版)に「舟」と「船」の使い分けがあり、おもしろい内容でしたので見てみられることをおすすめします。
『ノアの箱船には動物たちが、清い動物は7ペア、清くない動物は1ペアずつ載せられました。では人間は何人乗っていたでしょう。
ノアと妻、ノアの3人の息子とそれぞれの妻、計8人でした。箱船の人口は、八人だったのです。
それで、丸木舟、渡し舟など小型のフネを表す舟に八の口で、大型のフネを表す船という字になるのです。船という字の起源は、ノアの箱船だったのです。』
というものがあるけど、本当かどうかおしえてください。
「舟」(シュウ)と「船」(セン)は、同じく対象物は「ふね」であり、指すモノは同じです。しかし、コトバとしては全く別物です。
【舟】
まわりをとりまいて、水がはいらないようにしたふね。
※周(シュウ)・週と同系
※まわりを木でとりまいて、水が浸入しないようにした機能に着目したコトバ。
(中をくりぬいた丸木舟を「兪」というのに対して、周囲をグルリと囲んで水の入らないようにしたのを「舟」という)
【船】
流れに沿って進むふね。
※沿(エン)(水流にしたがう)・循(ジュン)(ルートにしたがう)・順(ルートにしたがう)などと同系。
※会意兼形声。右側の字(音エン)は「ハ(水が流れる)+口(あな)」から成り、くぼみにそって水が流れるさま。船はそれを音符とし、舟を加えた字で、水流にしたがって進むふね。
★漢代には東方では舟、西方では船といった。
★整理 ▼周囲を木でとりまいたのを「舟」(シュウ)といい
▼くり抜いたのを「兪」(ユ)といい
▼流れに沿って下るのを「船」(セン)という
★蛇足 服・兪(ユ)・朕・前・朝・勝などの字の月印は、舟の変形したもの。
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船という漢字の語源を教えてください。あと、舟と船という漢字はどのような意味の違いがあるのでしょうか。よろしくお願いします。
質問をいただき、そのままにしてしまっていました。すみません。教えてgooに、同内容の質問がとびこみ、思い出しました。m(_._)m
さて、屋根は、家のてっぺんにあるから「ヤネ」というものと思われます。
この場合、「根」は当て字であって、漢字の意味とは関係ありません。
やまとことばの「ネ」とは「嶺(ね)」つまり、頂(てっぺん)のことであり、
「ヤ(家・屋)」の「ネ(頂・てっぺん)」という意味ではないでしょうか?
※【屋根やね】(「屋(ヤ)嶺(ネ)の意か」)・・・ 新潮国語辞典
※【嶺みね】 {「み」は美称の接頭語。「ね」は高くとがった所の意}・・・ 新潮国語辞典
※【嶺みね】 {「み」は美称の接頭語。「ね」は頂の意}・・・ 学研国語辞典
渾沌七竅に死す
「屋根」は大和ことば「やね」の当て字ではないでしょうか?
大和ことば「やね」の意味を調べてみます。
ご存じの方はご教示をお願いします。
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「屋根」という漢字の語源を教えてください。
なぜ「やね」は家の上にあるのに、「根」という漢字を使っているのか?
英語「roof」との違いは?
教えて下さい。お願いします。
辞書で「嵜」を調べると・・・
【崎】 山部 8画 総画数 11画
【嵜】 山部 9画 総画数 12画
おそらく、筆記するときには、「山」の下を「立」のように書いたり「奇」のように書いたりしているのでしょう。以前から通用していたものかどうかはわかりません。大きい辞書には「異体字」として掲載されているかもしれませんが、私はまだ見ていません。
ご存じの方はお知らせください。
よろしくお願いいたします。
教育催眠研究会 -- 研究・講習・メーリングリスト
表題に似ている字で、「山の下が奇になっている字」は表題の字とは別なのでしょうか。
【剛】 咳部 8画 総画数 10画
解字
会意兼形声。
岡(コウ)は綱(コウ)(つよい太づな)の原字。また、崗(コウ)(上部のかたい台地→おか)の原字。かたくじょうぶな意を含む。剛は「刀+音符岡(コウ)」で、刀の材料にする鋼(かたい鉄)のこと。のち、広く、かたい、つよいの意に用いる。
▽慣用音ゴウ(ガウ)は、強(ゴウ)(ガウ)との混用か。⇒岡
音
【慣用音】ゴウ(ガウ) 【呉音・漢音】 コウ(カウ)
訓
かたい, つよい, つよさ
意味
(1)かたい(かたし)。かたくてじょうぶなさま。
《対語》⇒柔。
「剛強」「弱之勝強、柔之勝剛=弱の強に勝ち、柔の剛に勝つ」〔老子・七八〕
(2)つよい(つよし)。かたくてつよいさま。
「血気方剛=血気方に剛し」〔論語・季氏〕
(3)つよさ。かたくてつよいこと。こわおもて。
「是匹夫之剛也=是れ匹夫之剛也」〔蘇軾・留侯論〕
(4)ちょうど、いましがたの意の副詞。「剛過(いましがた過ぎたばかり)」
※《日本語での特別な意味》武芸や腕っぷしのつよいこと。「大力無双の剛の者」
名付
かた, かたし, こわし, たか, たかし, たけ, たけし, つよ, つよし, ひさ, まさ, よし
教育催眠研究会--研究・講習・メーリングリスト
『剛』について教えてください。
【激】 水部 13画 総画数 16画
■解字
会意兼形声。
右側は「白+放」の会意文字で、水が当たって白いしぶきを放つこと。
激はそれを音符とし、水印を加えてその原義を明示したもの。
■音
【慣用音】ゲキ 【漢音】ケキ 【呉音】キャク
■訓
はげしい, はやい, はげます
■意味
(1)はげしい(はげし)。水が岩に当たってくだけるほど勢いが強いさま。
《対語》⇒漫。「激流」
(2)(ゲキス)はげしい(はげし)。感情がはげしく高ぶる。ことばや行いが異常にはげしいさま。
《対語》⇒温。「過激」
(3)はやい(はやし)。しぶきを飛ばすほどはやいさま。
《対語》⇒慢(おそい)。
《類義語》⇒疾。「急激」
(4)(ゲキス)はげます。しぶきを飛ばすほど勢いをつける。はげしく勢いこませる。「激励」
「激而行之、可使在山=激してこれを行れば、山に在らしむべし」〔孟子・告上〕
■単語家族
檄(ゲキ)(人をいきりたたせるふれ)・「手+激−水」(ゲキ)(はげしくうち当たる)・劇(はげしい)などと同系。
激しいと言う字は、なぜ激しいという形成文字なの?父が言うには「昔、先祖の出が四国の白方と言う所で海賊とか水軍を生業にしてて激しかったからだ」との事。本当かなぁ?
あまりにもぶっきらぼうだったので、付け足します。
【前】 リ部 7画 総画数 9画
■解字
会意兼形声。
「前」の「リ」を除いた部分は「止(あし)+舟」で、進むものを二つあわせてそろって進む意を示す会意文字。
前はそれに刀を加えた字で、剪(セン)(そろえて切る)の原字だが、「止+舟」の字がすたれたため、進むの意味に前の字を用いる。
もと、左足を右足のところまでそろえ、半歩ずつ進む礼儀正しい歩き方。のち、広く、前進する。前方などの意に用いる。
※のちほど図をアップする予定。
■音
【呉音】ゼン 【漢音】セン
■訓
まえ, さき, さきに, すすむ
■意味
(1)まえ(まへ)。場所にも時間にも用いる。
《対語》⇒後。《類義語》⇒先。「前後」
「瞻之在前=これを瞻れば前に在り」〔論語・子罕〕
(2)さき。さきに。以前に。
「何前倨而後恭也=何ぞ前には倨りて而後には恭しき也」〔史記・蘇秦〕
(3)まえ(まへ)。昔の。以前の。
《対語》⇒後。《類義語》⇒先。「前賢(昔の賢者)」「前人」
(4)まえ(まへ)。目のまえ。「目前」「面前」
「効死於前=死を前に効さん」〔漢書・蘇武〕
(5)すすむ。まえにすすむ。
「左右既前殺軻=左右既に前みて軻を殺す」〔史記・荊軻〕
《日本語での特別な意味》
@まえ(まへ)。その人数分の量をあらわすことば。また、割り当て分。「三人前」「割り前」
Aまえ(まへ)。相手を呼ぶときのことば。▽人を直接ささず、その前のところをさす習慣からおこった。
■単語家族
揃(セン)(そろえる)・翦(セン)(そろった矢)と同系。践(セン)(小さく足ぶみする)とも縁が近い。
次のページを参照してください。
ばかげた筆順の強制
宣帝と儒者
※(例)所の「戸」の部分の上部は、活字では「−」となりますが、手書きすると通常は「`」となります。そのように書くと「×」をつけるヘンな先生がいます。
私は、子供に英会話を教えているものですが、先日beforは前と板書したら、子供達が「先生違うで〜」と言うのです。何が違うのかと聞くと、前という漢字。私は月の部分を月のように左の部分をカーブして書いていました。(藤と同じように)。すると、子供達が「そこはまっすぐやのに」って言うんです。「えーーー!」ほかの子に聞いてもまっすぐだといいます。私はずっとカーブして書いています。私の友達とかに書いてもらっても、カーブしてました。書き方、最近変わったのでしょうか?それとも私がずっと間違って書いてたんでしょうか?子供に言われたのもショックだけど、なんだか納得いかないので、教えてください。お願いします。
漢和辞典で調べたら「黒」のコーナーにあって、暗い、とかのイメージはできましたが、なぜそこに「犬」がつくのかが疑問でした。
お答えいただきありがとうございました。
いけないっ! たくさん質問がたまっている・・・
まずは、「黙」について
「犬の吠えずして、人の後に従う」(朱駿声)
*「くらい」という原義から「声を出さぬ」意を派生したもの。
【黙】 黒部 4画 総画数 15画
■解字
会意兼形声。
「犬+黒(くらい、わからない)」。
■音
【呉音】モク 【漢音】ボク
■訓
だまる, もだす
■意味
(モクス)もだす。だまる。
口をきかないので、意向がわからない。声をたてない。「沈黙」
「黙而識之=黙してこれを識す」〔論語・述而〕
■単語家族
黒(くろい)・晦(暗い、よくわからない)・謀(どうしたらよいかわからない→さぐり求める)と同系。
なんでこの字は「黒い犬」って書くんですか?
是非教えてください。
凸凹さんへ
れっきとした漢字です。
ほとんどのワープロで、「でこぼこ」→「凸凹」、「おうとつ」→「凹凸」と変換されます。
さて、これは非常に面白い質問で、これに対する藤堂明保博士の解説もとても面白いのですが、いよいよ私の方に時間の余裕がなくなりましたので、詳しい解説は7月6日(日曜日)頃までお待ちいただきたいと思います。本当にすみません。
さて、まずは「凸」
【凸】 凵部 3画 総画数 5画
■解字
象形。中央が突き出た姿を描いたもの。
トツ
■音
【漢音】トツ 【呉音】トチ
■意味
(トツナリ)突き出ているさま。突き出る。突き出た部分。
《対語》⇒凹(オウ)。
「凹凸(オウトツ)」
「有凸者有窪者=凸なる者有り窪める者有り」〔陸游・入蜀記〕
■名付
たかし
■単語家族
突(犬が穴の中から急に飛び出る)と同系で、出とも縁が近い。
■参考
付表では、「凸凹」を「でこぼこ」と読む。
つぎに、「凹」
【凹】 凵部 3画 総画数 5画
■解字
象形。中央がくぼんだ姿を描いたもの。
■音
【漢音】オウ(アフ) 【呉音】ヨウ(エフ)
■訓
くぼむ, くぼみ
■意味
(1)(オウナリ)(アフナリ)くぼむ。へこんでいるさま。へこむ。
《対語》⇒凸(トツ)。
《類義語》⇒「水(さんずい)+圭」(ワ)・窪(ワ)。
(2)くぼみ。へこんだ所。
《対語》⇒凸(トツ)。
「凹凸(オウトツ)」
※詳しくはのちほどアップいたします。
お楽しみに・・・
凸凹というのは漢字ですか?
漢字という事は中国語(漢語)にもあるという事なんでしょうか?
由来などが知りたいです教えてください
K.Y さん
ようこそおこしくださいました。
さて、「保」についてのご質問ですが、
この文字の変遷については、後に「過去ログ」の方にアップします。
さて、右下の部分ですが・・・
このような場合「正しい」とか「正しくない」とかは関係ありません。
活字の場合「木」のような形になっている場合が多いようですが、手書きする時は「筆勢」というものがありますから、線がついたり離れたりするのは当然で、楷書で書けば「木」のような形になることもあり、「ホ」のような形となることもあります。これはごく自然のことであり、どちらかが「間違っている」ということではありません。
これについては・・・
資料「ばかげた筆順の強制」をごらんください。
また、別資料「宣帝と儒者」をお読みくださると、こういう議論が無意味であることを納得いただけると思います。
包 ─ 胞 ─ 抱 ─ 袍 ─ 苞 ─ 宝 ─ 保 ─ 褓 ─ 「孵−卵」─ 孵(つつむ)
の家族については、できるだけ早く、「漢字家族(本編)」でとりあげたいと思います。
渾沌
「保」という字の 右下は 「ホ」 が正しいのでしょうか 「木」が正しいのでしょうか
お忙しいところ お手間をおかけいたしますが よろしくお願いします。