ところがいつの世にもけしからぬ人がいるもので、大昔の中国人の中に、この文字をわざとむずかしくした人がいたのです。
今の私たちは、小さいときから学校で勉強し、早くからいろいろな文字を習いますから、ひらがなやカタカナ、それに簡単な漢字ならたいていの人が読み書きすることができます。けれども、昔はそうではありませんでした。
昔は、国の役人やその他一部の人たちだけが、特別に文字を使用していましたが、そのほかの庶民とよばれる普通の人たちはみんな文字を知らなかったのです。ですから文字を知っている一部の人たちは、自分たちのことをなにか特別な「えらい」人間のように思っていました。
そして、文字を知らない普通の人たちを「何にも知らない、つまらない人間」だといってばかにし、また差別していたのです。