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『「武」の漢字「文」の漢字』(藤堂明保・徳間書店)より
もちろん「武」という字が「戈(ほこ)+止」から成ることはいうまでもない。「戈」とはマサカリ型の武器を描いた字であるが、「止」のほうは趾(シ・あし)の原字であり、じつは「足」という字の下半部も、この「止」の変形したものである。それは地面を踏む足首の形を描いたものだ。また「しんにょう」とは、行(十字路、みち)の左側とこの足首とを合わせたもので「道をいく、道、足の動作」などを意味することは、表に示したとおりである。「止」が「とまる、とめる」という意味に使われるのは、足首で地面を踏んで立ちどまることから転じた派生義であって、「止」の本来の意味は、あくまで あし(趾)ということであった。
してみると、「武」というのは「戈(武器)をもって、止(あし)で進むこと」、つまり妨害をおかし、困難を切り開いて、荒あらしくつき進むことを表しているのである。
むかしから、王がなくなったとき、諡(おくり名)をつける習慣があった。その基準を示す『諡法』(しほう)という本には、武王・武帝などというおくり名は、次のような意味だとのべている。
「威強くして叡(さと)き徳あるを武という。禍乱を克定するを武という。民を刑して克(か)ち服するを武という」
どれをみても、みな荒あらしくかちとる意味であって、「ほこを止める」などという、「優にやさしき」説明は、ひとつもみえない。
「武」に最も近いのは、賦役や賦税の「賦」の字で、これは「貝(財貨を表すしるし)+武」から成る字である。力ずくで威(おど)して、人民からむりに税を取りたてる──それが「賦」であるから、ここにも威力で克服するという意味が、はっきりと表れている。
※※※ 後略(引用おわり) ※※※
あとは、原文をご覧ください。ただし絶版ですので、図書館に行かなければなりませんが・・・。 (^^;
さしずめ、ブッシュ大統領などは昔なら死後に「武王」などと諡号(おくりな)を与えられるはずですね。
ブ王、武大統領、などと呼びますか?(渾沌)
日本史・文学史辞書 by 渾沌
【武】 止部 4画 総画数 8画
まずは解字から。ページをあらためて補足します。
「武」については是非とも『「武」の漢字「文」の漢字』(藤堂明保・徳間書店)をご覧いただきたいと思います。
※参照:「舟中の指掬すべし」(春秋左氏伝)
■解字
会意。
「戈(ほこ)+止(あし)」で、戈をもって足で堂々と前進するさま。
ない物を求めてがむしゃらに進む意を含む。
▽「春秋左氏伝」宣公十二年に「戈(カ)を止(トド)むるを武となす」とあるのは誤り。
■音
【漢音】ブ 【呉音】ム
■訓
たけだけしい
■意味
(1)たけだけしい(たけだけし)。荒くて勇ましい。力で相手をおさえる行いや気持ち。
▽文に対することば。《類義語》⇒猛・勇。「武勲」「文武兼備」
(2)戦争。また、戦争のための兵器や兵士。「武備」
(3)勇ましく前進する歩み。「歩武堂堂(足どり勇ましく進むさま)」
(4)前にいった人の足跡。また、前人が行った物事のあと。《類義語》⇒歩。
(5)一歩(ふたあし)の半分の長さで、昔の三尺。▽「歩」は、長さの単位で、一歩は昔の六尺。
(6)周の文王を文というのに対して、周の武王のこと。「文武周公(文王・武王・周公)」
(7)周の武王のつくった音楽。
「謂武、尽美矣、未尽善也=武を謂はく、美を尽くせり、いまだ善を尽くさざるなり」〔論語・八佾〕
■単語家族
模・賦・舞・巫・望・明 ・・・・ さぐり求める
賦(求める)・慕(求める)・摸(ボ)(さぐる)・驀(バク)(馬がむやみに前進する)・罵(バ)(むやみにつきかかる、ののしる)などと同系。
日本史・文学史辞書 by 渾沌
【隼】 隹部 2画 総画数 10画
■解字
会意。
「隹(とり)+十(細くまとまる)」。細くしまってすらりとした形のとりをあらわす。
■音
【呉音・漢音】シュン 【慣用音】ジュン
■訓
はやぶさ
■意味
(1)はやぶさ。鳥の名。たかの一種。小形だが、はやい速度で飛び、性質はすばやく勇敢である。
(2)性質の荒い鳥のこと。
《日本語での特別な意味》
「隼人(ハヤヒト)・(ハヤト)」とは、上古、九州の南部に住んでいた人々。
■単語家族
俊(すらりとした人)・峻(シュン)(すらりとした山)と同系。
日本史・文学史辞書 by 渾沌
【田】 田部 0画 総画数 5画
■解字
四角に区切った耕地を描いたもの。
平らに伸びる意を含む。
また、田猟の田は、平地に人手を配して平らに押していくかりのこと。
天(テン) ・・・・ 空にある平面。広々と頭上に広がる青空。
田(テン) ・・・・ 地上にある平面。
「平らに伸びた」が基本義。
■音
【呉音】デン 【漢音】テン
■訓
た, かりする
■意味
(1)た。平らに耕した土地。平地。
「負郭之田(フカクノデン)(城郭(ジョウカク)の北郊にある田畑)」
(2)(デンス)かりする(かりす)。かりをする。
《同義語》⇒畋。
「田猟」「斉景公田=斉の景公田す」〔孟子・万下〕
(3)田畑のように、何かをうむ所。「炭田」「油田」
《日本語での特別な意味》
た。水田。
■単語家族
天・巓・陳 ・・・・ 平らに伸びる
日本史・文学史辞書 by 渾沌
田と隼と武の漢字の由来を教えてください。
私は、字源・語源は、いずれも説と思っていますので、詳しい辞書は持っていません。
藤堂説に近いものとして、大漢和辞典系列の辞書があげられます。これらの辞書において、「広漢和辞典」以降、語家族という考え方が導入されています。ひょっとすると、藤堂説の影響も受けているのではと思います。
この系列の辞書の「大漢語林」の解字から引用します。「形成。サンズイ(水)+羊(音)。音符の羊は、巨に通じ、大きいの意味。大きい水、海よりも大きな水域の意味に用いる。」とあります。
【洋】 水部 6画 総画数 9画
については、何故か『漢字語源辞典』(藤堂明保・学燈社)にも見あたりません。
学研漢和大字典によると・・・
「羊(ひつじ)とは関係がない 揚(のびる)・敞(ショウ)(広い)と同系のことば」
」
とあります。
継続して調べようと思いますが、ジテンフェチさん、ヘルプです。
なぜか今『言葉の系譜』が手元にないので、『漢文入門』(藤堂明保・学燈社)より引用します。
<十六> 臣とは伏し目である
字形52はもちろん人間の目の象形である。がこの目を斜めにして伏し目がちな目の姿を現したのが臣の字である。家来や奴隷はいつも伏し目をして平伏しているからというわけだ。それは臥の字を見ると、いっそうはっきりする。臥の字は「人+臣」の会意文字で、人間が伏せ目になる体位とは、横臥したりうつ伏せしたりした場合だからである。
*** 後略 ***
たしか、『言葉の系譜』には「臣とは伏し目がち」というタイトルで解説があったと記憶しています。
【臣】 臣部 0画 総画数 7画
■解字
象形。
臣は、下に伏せてうつむいた目を描いたもので、身をかたくこわばらせて平伏するどれい。臥(ガ)(ふせる)や臨(下をみる)に含まれる。
臣の字は、甲骨・金文の字体が示すように、明らかに目の形である。しかしこの目は、普通の目とは違い、うつむいた人の目を側面から見た姿である。
臥 ・・・・ うつ伏せに寝る
覧 ・・・・ 上からうつむいて下を見る
などに含まれる。
■音
【漢音】シン 【呉音】ジン
■訓
おみ
■意味
(1)もと、かしこまってつかえるどれいのこと。転じて、家来。
《対語》⇒君。「臣僕」「臣事(家来としてつかえる)」
「臣事君、如之何=臣君に事ふるには、これをいかんせん」〔論語・八佾〕
(2)臣下が君主に対してへりくだっていう自称のことば。
「臣不能以喩臣之子=臣は以て臣の子に喩すこと能はず」〔荘子・天道〕
(3)(シンタリ)家来としての本分をつくす。家来らしくする。
「臣不臣=臣臣たらず」〔論語・顔淵〕
(4)(シントス)家来とする。召し使う。
「学焉而後臣之=学んでしかる後これを臣とす」〔孟子・公下〕
《日本語での特別な意味》
おみ。八姓の一つ。天武天皇の時代に制定された八色(ヤクサ)の姓(カバネ)の六番め。
■単語家族
吉・壱・肌・堅・緊・虔 ・・・・ 固く締まる
臣と洋、田と隼と武の字解について私が字解をやってもいいのですが、nothingさんのように詳しい辞書を持っていないので、藤堂説に基づく漢和辞典(なかんずく「super日本語大辞典」の中にある「漢和大字典」を改訂した辞書)により行なったのでよいのであれば、その旨の回答を書き込んでください。
臣の語源と洋の語源を教えてください。
息子からの宿題さん。これは既出です。
バックナンバーをご覧ください。
↓↓↓
re:なぜ人の体の一部を表す文字には月がつくのか?をご参照ください。
日本史・文学史辞書 by 渾沌
臓器(心臓、肝臓、腎臓、すい臓…)のへんは、何で月へんなのでしょうか?
ということですが、これらの文字にある「月」は、月偏とはいわず、肉月といいます。
この部首の形は、動物の肉のひときれを書いた象形文字で、「月」の横棒は、筋肉の線です。俗に「肉」の変形だと言われますが、実際には、「肉」の古い形で、楷書が「肉」であるのに対して、金文・篆書などは「月」に近い形です。
それで、内臓を表す文字として使われるほか、肩・背の字や祭・然の字の一部分にも使われます。祭・然の場合は、「月」の字が、変形して使われています。
膵・腺は、会意に倣って、作られた和製漢字です。
なお、藤堂説による詳しい解字は、管理人のnothingさんがやってくれるでしょう。
臓器(心臓、肝臓、腎臓、すい臓…)のへんは、何で月へんなのでしょうか?
ご教示下さい。
止揚とは翻訳語です。
アウフヘーベン(独)aufheben
弁証法で用いるヘーゲルの用語
■原語には、否定する・高める・保存するの意味があり、ヘーゲルはこの3つの意味を含めて用い、それを弁証法の要素とした。
対立の統一という時に用いられ、より高度の統一において諸要素はそのなかに止揚されたといわれる。
(例)テーゼはアンチテーゼを生み、それがアウフヘーベンされることによって、ジンテーゼが得られる・・・などと言います。
=> goo国語辞典「止揚」
止揚の語源を教えてください。
【釣】 金部 3画 総画数 11画
■解字
勺の字の篆文は、凹んだ杓(シャク)で何かを汲み出す姿を表す。、印は汲まれる物である。
杓子の杓(シャク)は汲み出す道具であり、シャクという日本語として借用せられた。
ところで、「汲み出す」とは、容器の中の汁の一部を高く抜き出すことである。
したがって、水中の魚をつって、高く水面上に抜き出すのを釣という。
『漢字語源辞典』(藤堂明保・学燈社)より
■単語家族
勺・釣・卓・擢 ・・・ 抜きん出る、ぬき出す
【的】 ・・・ 目立つように高く地上にぬき出した標的(まと)
【卓】 ・・・ 人が高く立ち上がったさま
【掉】 ・・・ 平面から特定のものだけぬき出す動作
【擢】 ・・・ 高く抜きあげる(抜擢の擢)
日本史・文学史辞書 by 渾沌
一応書いておきますが、詳しくは、ここの管理人のnothingさんが教えてくれるでしょう。
【釣】
[常用漢字]
金部 3画 総画数 11画
第1水準 区点=3664 16進=4460 シフトJIS=92DE Unicode=91E3
《常用音訓》
チョウ, つる
《音読み》
チョウ(テウ)邨邯(去)嘯
《訓読み》
つる, つりする, つり
《名付》
つり, つる
《意味》
ぽ(チョウス)(テウス){動詞・名詞}つりする(つりす)。つる。つり。水中の魚を高く水面上に抜き出してとる。また、その方法。「子、釣而不綱=子、釣して綱せず」〔論語・述而〕
ま(チョウス)(テウス){動詞}つる。餌(エサ)でおびきだす。うまく機会をつかまえる。名や見栄をかかげて、みせびらかす。「釣奇=奇を釣る」「釣名=名を釣る」。
《日本語での特別な意味》つり。つり銭。
《解字》
会意兼形声。「金+(音符)勺(シャク)(液体の中の一部を高くとりあげる)」で、水中の魚を金ばりでつって、高く水面上に抜き出すこと。
《単語家族》
杓(シャク)(ものをすくって抜きあげる道具)・酌(シャク)(酒を抜きあげるようにしてくみ出す)・的(テキ)(高くかかげたまと)と同系。
釣は金ヘンに勺ですが意味合いを教えてください。
事務さん。
お返事が大変遅くなりました。ジテンフェチサンのアドバイスで解決済みかとは思いますが、蛇足をつけます。
このような疑問には次のサイトが最適です。
ニフティーサーブ仏教フォーラムインターネット版
日本のパソコン通信の草分、ここの管理者のマイコン坊主さんは、ニフティーサーブの生みの親です。
私もかなりごぶさしていますが、お坊さんや、仏教専門の方がやさしく質問に答えてくれるコーナーがあります。
仏教フォーラム「質問所」
こちらで、適切な回答をもらえると思います。
Fbud@Nifty 仏教フォーラム
何に使われる言葉ですか。「日本国語大辞典第二版」にもありませんでした。
この言葉が間違いなく確かな言葉でしたら、国語研究所に聞いてみるといいかと思います。下のアドレスがそうです。電話で回答していただける時刻もサイトに書いてあります。
祖供養 と 粗供養 最初の字(祖先の祖か粗末の粗か)使い方はどちらが正しいのでしょうか?またはどちらも正しいのでしょうか?わかる方教えてください。
ジテンフェチさん、いつもありがとうございます。
さて、過去ログを整理していると、「皮肉」の質問に対して回答ができていないのに気づきました。
こちらのページをご覧になると要点がわかります。
↓↓↓
※皮肉・骨髄
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/gzmgzm/article/05/29.html
渾沌 **** nothing ****
「日本オタクの友人」さんのような「説」を【民間語源説】といいます。
〔例〕
■「ねこ(猫)」は、よく寝るから「ネ・コ」である。
■「かみ(神)」は「かみ(上)」にいるから「カミ」である。
このような珍説は巷にはびこっています。大衆に受け入れられやすいので困りものですが・・・
ところで「日本オタクの友人」さんの「説」もジテンフェチさんがおっしゃるように、「とるに足らない説」の部類にはいると思います。(どこから仕入れたのかはわかりませんが。どこで仕入れたかを聞いてみましょう)
でも、このような掲示板等で確認することは悪いことだとは思いません。ただ、その「説」を主張する人に、その根拠を聞かなかったのが大変残念なことです。一番大切なのは「何故、そのような説が成立するか?」ということです。「根拠」がわかれば、とるに足らない説なのか何なのかということも判断できますが「主張」だけではねえ。
「日本オタクの友人」さんに、そう主張する理由を聞いてください。
また書き込みをお待ちしています。 m(~@.@~)v
p。s。ちなみに、histryではなくhistoryではないでしょうか?
日本史・文学史辞書 by 渾沌
うえに説と書いたことからわかるように、字源・語源は、説にすぎません。専門研究者にしてそうですから、はっきり言って、素人の、それも外国人の語源説を相手にする必要などどこにもないと明言できます。体系的説明を見て気に入られた研究者の説をとられるしかないですね。
ちなみにここは、藤堂説により漢字の成り立ちを説明するサイトです。藤堂説による「漢字源」が手元にありますので、見てみましたが、「皮・肉・皮肉」ともそのような解説はありません。白川説の「字通」もパソコンにインストールしてありますが、解説いたしません。
漢和辞典を色々見ていただければ、そのようなばかげた説は、素人による字源俗解であることがわかると思います。ちなみに私は、漢字ではなく、和製漢字の研究者です。もちろん専門分野では、素人のいうことなど全く相手にするつもりはありません。
ここの管理人のnothingさんが、その気になれば、藤堂説による解字を教えてくれるかもしれませんが、”皮肉”とは腐った肉というような、取るに足らない説にはつきあってもらえないと思います。
どういう立場を取るにしても、きちんと漢字を勉強されることをおすすめします。
外人の日本オタクの友人から聞かされました。
”皮肉”とは腐った肉!と言うのがこの言葉にかくされた、histryなんだそうです。
でも、私がならったのは”皮”と”肉”で皮肉と書く。
でも、この友人は他の日本人から皮肉の語源は”腐った肉だ”といって頑固にゆずりません。
もし、”皮肉”にかくされたhistryがあったら、教えてください。
あと、どうして”皮肉”にこの漢字を使うのでしょうか???
日本語での特殊な用法ですから、訓読みが入るのが自然です。重箱読み、湯桶読みのように、音訓が混ざるものもあります。
外国人の友達から、漢字が二文字になると音読みすると聞いたけど(例えば:握手・・アクシュ)
どうして 足元(あし・もと)は訓読みなんだろう???ですって。昔習ったと思うけど私は忘れてしまいました。。。教えて下さい!
みなさま、大変ご無沙汰いたしております。
たくさんの書き込みありがとうございます。
また、ジテンフェチさん、珠玉のようなご解説ありがとうございます。
(全く、管理人とは名ばかりでお恥ずかしい限りです )
=> ジテンフェチさん
従来の漢和辞典には「国字」に関しては、冷ややかというか、ほとんど詳しくは触れられていませんでした。これを深く、しかも体系的に研究されたのは、おそらくジテンフェチさんが嚆矢ではないでしょうか。
「漢和」辞典を製作する上で、「国字」をおろそかにしてはならないということに気づいた出版会社から協力依頼があるのは当然のことだといえるでしょう。
他の出版社も「某出版社」に倣って、続々と改訂作業に入ることでしょう。
ジテンフェチさんの功績は大きいと思います。
私がいちばん頼りにする「学研漢和大字典」が改訂されるという情報をいただき、ありがとうございます。待ち遠しいです。
来年は、ジテンフェチさんの「和製漢字の辞典」の出版、「学研漢和大字典」、「某出版社」の辞典の改訂版・・・本当に楽しみですねえ。(でも、出費がたいへん<笑>)
今から掲示板にきちんと目を通します。
みなさま、ありがとうございました。 m(_._)m
渾沌(nothing)
【縁】 糸部 9画 総画数 15画
■解字
PCでは旧字体が入力できませんが、「糸+彖(タン)」
「彖」の上部はブタの大きな頭をあらわす。豚〔duen〕*e は上下回転と同系のコトバ。
いずれも重そうにブタの体が垂れている(ズングリしている)ことからの命名と考えられる。
彖は頭の大きい豚の象形。ブタをt'uanと称するのは、その腹が上から下に垂れ下がっている点に着目した命名。
「糸+彖」(縁)は、「衣の純(ふちへり)なり」〔説文〕
「純とは衣の縁飾(へりかざり)なり」〔爾雅・釈器〕
布の両端に垂れ下がるふちどりのこと。
去声は縁飾、平声は由縁の意に用いる。由縁(いとぐち)とは、端緒の「端」に当てた用法。
■訓 ふち, へり, よる, よって, えにし, えん ■音 エン ■単語家族
垂・朶・妥・堕・段・端・断 ・・・・ 上から下へおちる(おす)↓型
【篆】 ・・・ 「引書なり」〔説文〕上から下へ↓の方向にひくのを引という。上から下へ垂れた書き方をする篆書。
【椽】 ・・・ タルキ。屋頂から軒へと垂れている点では、衣の下へ垂れたふちどり(=縁)と、形が告示している。端と同系のコトバ。
【睡】 ・・・ まぶた、または頭を垂れて居眠りすること。
【唾】 ・・・ 上から下へと垂れるツバ。
【錘】 ・・・ 上から下へと垂れるハカリのおもしの銅。
【端】 ・・・ 左右の同じ長さに垂れた姿。
・・・ということで、あおぞらさん。垂れ下がる姿を表現するために、腹の垂れ下がったブタを連れてきたものと考えられます。
漢字家族 -- 漢字の語源
失礼しました。緑ではなく、縁でしたよね。文字化けしましたので、気が付いたところは書き換えました。正式には、漢字源などを見てください。
【縁】
[常用漢字]
糸部 9画 総画数 15画
第1水準 区点=1779 16進=316F シフトJIS=898F Unicode=7E01
縁(旧字体)
糸部 9画 総画数 15画
第3水準 区点=9013 16進=7A2D シフトJIS=EDAB
《常用音訓》
エン, ふち
《音読み》
エン邨邯(平)先(仙), (去)霰(線)
《ピンイン》(表現できませんので、省略します)
《訓読み》
ふち, へり, よる, よって, えにし, えん
《名付》
まさ, むね, やす, ゆか, ゆかり, よ, よし, より
《意味》
ぽ{名詞}ふち。へり。布や飾りなどのわきに垂れたはし。物のへり。▽去声に読む。《類義語》端・辺。「辺縁(へり)」。
ま{動詞}よる。へりからもとへたどる。手がかりによって何かをさぐる。手づるにそって進む。▽以下、平声に読む。《類義語》因(よる)・沿(そう)。「縁渓行=渓に縁ひて行く」「猶縁木而求魚也=なほ木に縁りて魚を求むるがごとし」〔孟子・梁上〕
み{前置詞}よって。それがきっかけで。原因となって。《類義語》因。「縁愁似箇長=愁ひに縁つて箇くの似く長し」〔李白・秋浦歌〕
む{名詞}えにし。手づる。つながり。「人縁(人どうしのつながり)」「姻縁(インエン)(結婚によるつながり)」「由縁(ユエン)(いわれ)」。
め{名詞}《仏教》ある原因、ある条件からある結果を生じる外的条件。▽内的原因を因という。「因縁(インネン)」。
《日本語での特別な意味》えん。家のはしに出たえんがわ。
《解字》
会意兼形声。彖(タン)は、豕(シ)(ぶた)の字の上に特に頭を描いた象形文字で、腹の垂れ下がったぶた。豚(トン)と同系のことば。縁(旧字体)は「糸+(音符)彖」で、布のはしに垂れ下がったふち。⇒彖
《単語家族》
椽(テン)(家の棟(ムネ)から両わきに垂れ下がったたるき)・篆(テン)(へりの垂れ下がった字体)・端(タン)(垂れたはし)などと同系。
《参考》
旧字「縁(旧字体)」は人名漢字として使える。▽「因縁(いんねん)」など、「ねん」と読むことがある。
字通のCD版もパソコンにインストールしているのですが、説文解字を元にした解説だったので、省略します。もっとも、ここは藤堂説による字解をするサイトなので、全く逆の白川説による解説を書き込んでは、nothingさんに怒られてしまいますよね。
一部文字化けしましたので、気が付いた範囲でわかるように書き換えました(本当は全部引用してはだめかもしれません)。正式には、漢字源などを見てください。
【緑】
[常用漢字] [学習漢字 三年]
糸部 8画 総画数 14画
第1水準 区点=4648 16進=4E50 シフトJIS=97CE Unicode=7DD1
緑(旧字)は、
糸部 8画 総画数 14画
第3水準 区点=9008 16進=7A28 シフトJIS=EDA6
《常用音訓》
リョク, ロク, みどり
《音読み》
リョク, ロク(入)沃(燭)
《ピンイン》(表示できないので省略します)
《訓読み》
みどり
《名付》
つか, つな, のり, みどり
《意味》
{名詞・形容詞}みどり。青竹や草の色で、青と黄との中間色。また、みずみずしくて深い感じの色。みどりの。「柳緑花紅(リュウリョクカコウ)」「千里鶯啼緑映紅=千里鶯啼きて緑紅に映ず」〔杜牧・江南春〕
《解字》
会意兼形声。(緑旧字体-糸)(ロク)は、竹や木の皮をはいで、皮が点点と散るさま。剥(ハク)(皮をはぐ)・(草冠に緑(旧字体)-糸)(リョク)(皮がはげて、きれいなみどりの肌の出た竹)の原字で、昔はpl・blなどの複子音をもっていたことば。緑(旧字体)は「糸+(音符)(緑(旧字体)-糸)」で、皮をはいだ青竹のようなみどり色に染めた糸を示す。
《類義》
翠は、ひすいのような青緑色。碧は、無色の奥から浮きだす青緑色。
《参考》
緑(旧字体)は人名漢字として使える。
初めまして。外国人の友人より「縁」のつくりはなぜ「豕」を使うのか?「豕」は「豚」の意味ではないのか?という質問を受けましたが、答えられませんでした。「縁」の由来を教えてください。