漢文の基本構造

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 漢文学習の基本は、日本語にはいった漢語の熟語をじっくりと見つめること。
 熟語の構造を分析すると、次の五種類に分類することができる。


1.主語 ─ 術語の関係(主術の関係)

 「AがBする、AはBだ」という「主語 ─ 術語」から成り立っている関係。

・地震(地が → 震える)
・雷鳴(雷が → 鳴る)
・人造(人が → 造る)
・国立(国が → 立てる)


2.修飾語 ─ 被修飾語の関係(修飾の関係)

 AがBを修飾するという関係。

・幼児(幼い → 児)
・急行(急いで → 行く)
・激動(激しく → 動く)
・再会(再び → 会う)
・速成(速やかに → 成る)
・常習(常に → 習う)


3.並列の関係

 AとBが同等の資格をもって並んでいる関係。意味を考えれば、AとBとが同種の場合もあるし、反対のものが並ぶ場合もある。

・人民(人と = 民と)
・優良(優れて = 良い)
・粗悪(粗末で = 悪い)
・上下(上と ←→ 下と)
・往復(往きと ←→ 復りと)
・善悪(善と ←→ 悪と)


4.補足の関係

 Aで、行為や現象を示し、Bで、その対象や場所・事物などを補う、という関係。

・成功(成す ← 功を)
・失業(失う ← 業を)
・登山(登る ← 山に)
・帰郷(帰る ← 郷に)
・読書(読む ← 書を)
・降雨(降る ← 雨が)
・有力(有る ← 力が)
・無能(無い ← 能が)


5.認定の関係

 Aで、よしあし・可否などの認定をくだし、Bで、その内訳・内容を述べる、という関係。

・不正(ない ← 正しく)
・非常(ない ← 常で)
・可視(られる ← 視る)
・可憐(べきだ ← 憐れむ)
・不可能(でない ← 可能)
・不可避(られない ← 避ける)
・未来(まだ・でない ← 来る = まだ来ない)
・当然(きっと・べきだ ← 然る = きっと然るべきだ)


 ※1〜3までは、日本語の構造 ─ 語順と同じである。
 ※4〜5は、漢文(熟語)では「AB」の順に書かれるのに、日本語では「BA」というように、Bをさきにいうのが普通である。


  漢文は、基本的には、以上五種類の構造が中心となり、さらにそれぞれの語に修飾成分がついて、成り立っています。

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2003年9月27日 1:51 counter 設置

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