※(参照)戊・戌・戍/巳・已・己 おぼえ方(漢字家族) ※2013年の「干支」(カンシ・えと)は、癸巳(キシ・みずのとみ)
※巳年と蛇とは何の関連もありません。 「干支」について
※「虹」という漢字は、どうして「虫(へび)+工」なのですか?
1.まずは、蛇足から 今年は、まず蛇足からはじめます。 13年の干支に関連して、巳・蛇 について、どの話題から始めようかと思いをめぐらせながら、ふとググってみると、次のような記事を発見!
このような相談は、軽い気持ちでできるものではありませんし、冗談でこんな投稿はできません。大真面目だからこそ深刻です。 このような迷信に惑わされないようにという願いから、2012年のはじめころに、 ▼マインドコントロールされないために という独白を書き始めました。多忙のためそれぞれの記事の投稿時期にはかなり間隔が開いていて、まだ終了しておりません。結論を忘れてしまいそうだし、たんなる独白なのですが。ただ、上記のような投稿を見ると、考えこんでしまいます。 上記の相談者のように、迷信を信じこみ、不安感に取り憑かれてしまうと、科学的な思考は一切受けつけられなくなります。(もともと科学的に思考する習慣がないから、このような悩みをもつようになったともいえますが) このような方には、 ▼『巳歳生まれは、福を呼ぶ人【新版】―「大好き」が多い人生は幸せだとヘビは笑った』 という本をお薦めしたほうが、とりあえず「当面の不安」をやわらげることができるかもしれませんが、それでは根本的な解決にはなりません。 迷信を迷信で克服しようとするもので、かえって迷いは深まるばかりです。 「マインドコントロールされないために」に書いた「血液型占い」ほど大雑把ではないにしても、十二支と人間の性格とを関連させるとしたら、途方もなく大雑把すぎます。 例えば、巳年は十二年ごとに巡ってきます。その巳年生まれの人は、世界中に何人いるでしょうか? 日本の年間出生数を見ると、2011年の人口統計では「1,050,806人」(平成23年(2011)人口動態統計(確定数)の概況) となっております。日本だけでも、1年間に105万人以上の人が生まれているのです。 世界中の人のことを考えると途方も無い数になります。 ▼教えて!世界ランキング 2012 〜世界番付 世界一はどこ? 気になる人は↑上のリンクをたどってみてください。 さて、あなたは、このような途方も無い数の人々すべてが、同じ性格を持ち合わせていると思いますか? 十二支は12年毎に巡ってきますので、世界中の人で巳年生まれのひとは、さらに膨大な数にのぼります。 この人々は、同じ性向や性癖を持っているのでしょうか?上記の相談者さんが言うように、みなさん「執念深いとか、しつこい」「親の足をひっぱる」「家族を崩壊させる」「兄弟の中をさく」性格だというのでしょうか? ためしに巳年生まれの人を大勢集めて、パーティーを開いてみてください。みなさんそれぞれに個性を持ち、性格もマチマチなはずです。 考えてみると、12類型でもこれですから、血液型占いとなると、たったの4類型。そのいいかげんさは、さらに途方も無いですね。 占いで遊ぶのはかまいませんが、「遊び」のつもりが、いつしか知らず識らずのうちに、その占いが心の底で重要な位置をしめてしまい、迷信を大まじめに信じこんでしまうはめにならないともかぎりません。ご用心、ご用心。 「マインドコントロールされないために」は、現在「その1」から「その4」までですが、書き始めた頃の記憶を呼び起こし、なんとか続けていきたいと思っています。 さて、蛇足が、あまりにも長すぎますので、少しずつ本題に。 最初に断言しますが、巳年と蛇とは、全く関係ありません。 十二支の意味について ついでにいうと、上記の相談者さんは「蛇」と「悪いイメージ」を結びつけておられますが、それでは蛇が気の毒です。 蛇は、日本でも古代から信仰の対象となったり、嫌悪の対象となってきましたが、その理由を解き明かしたものに・・・ ▼『蛇 (講談社学術文庫)』(吉野裕子) という著述があるそうですが、私はまだ読んでいません。 無料で読めるものとしては、「蛇に関する民俗と伝説」(十二支考・南方熊楠)があります。 いけない。また蛇足をつけてしまった。 2.巳(シ・み) 【漢音】シ 【呉音】ジ 【ピンイン】si4 【訓読】み (なぜ、みと呼ぶか) 【解字】象形。原字は、頭とからだができかけた胎児を描いたもので、包(ホウ・胎児をつつむさま)の中と同じ。種子の胎のできはじめる六月。十二進法の六番めに当てられてから、原義は忘れられた。 【単語家族】もと胎・始と同系。 【意味】み。十二支の六番め。子房の中の種子のこと。植物が種子をはらみ始める段階。 ※時刻では午前十時、およびその前後の二時間、 ※方角では南南東、 ※動物では蛇(へび)、 ※五行では火、 3.蛇(ダ、ジャ・へび) 【慣用音】ダ 【呉音・漢音】タ 【ピンイン】tuo1 【呉音】ジャ 【漢音】シャ 【ピンイン】she2 【訓読】へび 【解字】会意兼形声。它(タ)は頭の大きいへびを描いた象形文字。蛇は「虫+音符它」で、うねうねとのびる意を含む。它が第三人称の代名詞(かれ、それ)に転用されたため、蛇の字で它のもとの意味をあらわした。 【意味】へび。からだが長くのびるくちなわ。また、へびのように曲がりくねったさま。 ※[它] ・・・ 頭がまるくて大きいヘビ(たぶんマムシ)の形 象形。毒へびを描いたもの。古代には毒へびが多かったので、安否を尋ねるとき「它(タ)無キヤ」ときいた。転じて「別条ないか」の意となり、そこから它は別のこと、ほかの、などの意となった。 ※殷代の卜辞には、 (1)亡它(它なきや?) (2)亡禍(禍なきや?) (3)亡災(災なきや?) (4)亡尤(尤<とが>なきや?) という、4種類の問いのことばが常用されている。 「亡」は「無」と同じ。「亡它?」=「無它?」で「災異(わざわい)がないか?」の意に用いられている。 ※『漢字の話T』(藤堂明保)より引用します。 ・・・(引用開始) ところで、(它の字に)手へんをそえた「拕」(タ)は、物をズルズルと横にのばす(引っぱる)という意味だし、馬へんをそえた「駝」(ダ)は、荷をズルズルと引っぱる「ひき馬」のことである。それ故にヘビを「ダ」と呼んだのは、横に引っぱればズルズルと長くのびるからである。 昔の人は、ツツガムシ(恙虫)とマムシを特に恐れていた。 だから「ご無事か」と尋ねるさいに「無恙乎(つつがなきか?)」または、「無它乎(它なきか?)」といった。「別状ない」と答えるには「無它(它なし=無他)」と答えたのであった。これは、後世にも長く手紙の用語として慣用されている。 ・・・(引用おわり) 4.虫(蟲 チュウ・むし) 「虫」という字は、頭が大きくて尾が屈曲した「へび」を描いた象形文字。 この一字だけでは「キ」と発音し、「虺」(キ・まむし)の原字であった。 それを3つまとめて、「蟲」(チュウ)と書くのが本字。 (中世以降に、「蟲」を「虫」で代用する習慣がおこり現在にいたる) 「蟲」(チュウ)は、「衆」(シュウ)・「充」(ジュウ)などと同系語。 ▼「衆」(シュウ) 「日(太陽)+人が三人(おおくの人)」で、太陽のもとでおおくの人が集団労働をしているさま。 ▼「充」(ジュウ) いっぱいに集まる。中身がいっぱいになるの意を含む。 ※『漢字の話T』(藤堂明保)より引用します。 ・・・(引用開始) 一般に哺乳動物は子を生む数が少ないものだが、卵生のものは群れをなす「衆」のように、多くの幼虫を生み、その個所いっぱいに充(み)ちてうごめいている。そこに着目してチュウと呼んだのである。 だから蛇(へび)にも蛙(かえる)にも、また昆虫一般にも「虫へん」がつく。 水中の魚と空飛ぶ鳥以外で卵生のものは、すべて「虫」の仲間なのだ。 ・・・(引用おわり) ▼「蛇足」(ダソク/画蛇添足) 蛇足(画蛇添足)<故事成語>
▼「盃中蛇影」(盃中の蛇影) 盃中蛇影(盃中の蛇影)<故事成語>
▼「上巳」(ジョウシ) 陰暦三月のはじめの巳(み)の日。 昔、この日に川のほとりで「祓禊」(フッケイ・みそぎ)をする習わしがあった。
▼「祓禊」(フッケイ) けがれをはらうため川で身を清める行事。みそぎ。 漢代には、三月の上巳(ジョウシ・最初の巳の日)に、のちには三月三日に行われた。
▼禹(ウ) 後足をふまえて尾をたらした、頭の大きい大とかげを描いたもの。もと大とかげの姿をした黄河の水の精。からだをくねらせた竜神のこと。のち、それが儒家によって人間の聖王に転化された。 「禹」は、左の篆書の字形を見てもわかるとおり、その上部はハブ蛇のような顔であり、下部には、両足を踏み出した間に、長い尾がとぐろを巻いてのぞいている。 虫歯のことを齲歯(ウシ)といい、その齲の字は「歯+音符禹」からなっている。 つまり、「禹」(ウ)が虫(へび)であることを、齲歯の「齲」ということばが暗示している。 「禹」とは、迂曲(ウキョク)の迂(太い曲線をなして曲がる)と同系のことばであった。 【禹に関する民話】---- ある時、黒い竜が大あばれをして天地をうちこわし、大洪水が起こってすべてが濁流に呑まれてしまった。鈍重なサンショウウオがその収拾を命ぜられたが、いっこうにラチがあかず、洪水はますます荒れ狂うばかりである。ついに俊敏なトカゲもしくはヘビの精が出てきて、永年にわたる奮闘のすえ、とうとう洪水を治めて山々はおちつき、河川は河道に戻って海に注ぐようになった。鈍重なサンショウウオはその責任を問われて、処罰された。それゆえに今でも深い水底にひそんで顔を出さないのである。
【民話をもとにした説話】----
【原文】(『書経、舜典』)----
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